ページの先頭

ページ内移動用のリンク

ヘッダーメニューへ移動

本文へ移動

フッターメニューへ移動

ここから本文です

判例から学ぶ
カスハラ対策

近年、カスハラはますます
身近な問題となっています。
一方、何が問題で、どう防げばよいのか、
わからない方も多いのではないでしょうか?
こちらでは実際に起きた判例のケースを元に、
その問題点と対策について紹介をしていきます。

カスハラを未然に防ぐための体制整備

顧客対応が不十分な職場に
生じるリスク

事業者の場合

  • 従業員の疲弊・離職等
  • 更なる苦情の増加、企業ブランドの低下

就業者の場合

  • 業務負荷の増大・非効率化
  • 心身への負担による休職や離職
  • 職場の士気の低下
トラブルを未然に防ぎ、従業員が働きやすい環境をつくるためにも、事前に体制を整備しておくことが重要ですね。

体制を整備するためにできることは
何でしょうか?

事業者ができることの例

  • 実態把握のための調査の実施

    自社の状況を確認しましょう。

  • マニュアル等を用いた社内の
    連携強化

    予め対策を練り、実践できる体制づくりを目指しましょう。

  • 接客対応の向上を含めた
    従業員の教育・研修

    従業員に対してのカスハラ対策の周知はもとより、接客向上の教育も大切です。

就業者ができることの例

  • 就業者間の連携

    マニュアル等を遵守するとともに、従業員同士が連携してしっかりコミュニケーションをとり、組織として対応しましょう。

  • 接客対応の見直し・改善

    カスハラの原因を作らないことも大切です。

  • ロールプレイング等を通した
    事前準備

    マニュアルの内容や研修で学んだことを実践に活かせるようにしましょう。

実際にあったケース

東京地判 平成30年11月2日
(まいばすけっと事件)

【判例の概要】

小型スーパーマーケットに勤務していた従業員が、顧客からの暴言および乱暴な行為を受けたことに対し、生命・身体の安全確保の配慮をせず損害を被ったと主張し、顧客と勤務先のスーパーの事業者に対して、不法行為を理由として慰謝料など損害賠償を請求した事件です。


これに対し裁判所は、まず、顧客の行為は、粗暴で周囲の人間をおびえさせるものではあるが、犯罪行為として立件するようなものではなかったこと、また、従業員の行為が顧客への配慮に欠け、いたずらに顧客に不快感を与えていることなどから、顧客の行為により当該従業員が精神的な障害という損害を負ったとは認められず、顧客に不法行為責任は生じないと判断しました。


次に、事業者に関しては、マニュアルによる初期対応の指導や発生時の対応方法の周知を行っており、本件においては、従業員に対し接客態度に関する指導を行い、顧客に対し謝罪するとともに、両者の関係が修復されるように働きかけるなど、トラブルを収束させるために考えられる策を順次実施し、効果を上げていたことなどから、事業者に安全配慮義務違反があったとは認められず、不法行為責任も生じないと判断しました。


結論として、従業員の損害賠償請求はすべて棄却されました。

本判決においては安全配慮義務違反は否定されましたが、 事業者の対応が不十分であった場合は、安全配慮義務違反が成立しうることになります。
事業者としては、カスハラを放置すること、十分な対応をしないことなどが、法的に「安全配慮義務」の問題になることを、十分に確認しておくべきといえるでしょう。


なお、本判決では顧客側の不法行為責任は否定されていますが、行き過ぎた言動は、民事上、不法行為に該当しうるだけでなく、刑法等に規定する犯罪行為にもなり得ます

就業者も、ある場面では顧客等になり得ます。
                    顧客等の立場においては、・言動は冷静に、かつ節度あるものにする・個人への不当な謝罪要求・処分要求を避ける・店舗運営や他者への影響に配慮するなど、自らがカスハラの行為者とならないよう、心掛けましょう。

今回のまとめ

カスハラが発生した際の対策を
具体的に策定しておくことで、
被害を最小限に抑えられる。

カスハラは、従業員の就業環境を害する可能性があるため、事業者として防止対策を行うことはもちろん大事ですが、トラブルを未然に防止するためにも、日頃から従業員と顧客が良好な関係を築けるような環境を整えることもまた重要です。

なお、令和7年6月には法改正(労働施策総合推進法の改正)が成立し、カスハラ防止措置を行うことが事業主の義務となることとなりました。
令和8年10月から施行される(義務付けが始まる)予定です。
今後、国の指針において具体的な防止措置の内容が示される予定ですので、こうした内容も含め、最新の情報を確認し、カスハラ防止対策に取り組みましょう。

原 昌登

監修

令和7年度監修担当
成蹊大学法学部教授

原 昌登

ここからフッターメニューです