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判例から学ぶ
カスハラ対策

近年、カスハラはますます
身近な問題となっています。
一方、何が問題で、どう防げばよいのか、
わからない方も多いのではないでしょうか?
こちらでは実際に起きた判例のケースを元に、
その問題点と対策について紹介をしていきます。

企業間取引でのカスハラ防止対策

企業間でのカスハラにより
生じるリスク

  • 取引先従業員(担当者)等への人権侵害

    行為を受けた従業員の尊厳を傷つけ、就業環境の悪化を招く許されない行為です。

  • 企業の法的責任

    行為を行った従業員だけでなく、企業側にも使用者責任等の法的責任が生じる可能性があります。

  • 企業の信用失墜

    ハラスメントの事実が公になることで、企業の社会的な信用が失われる可能性があります。

企業間の取引でカスハラが起きると、事業者に大きな影響が生じてしまいますね。企業間のカスハラをはじめ、様々な事例を用いて動画で解説していますので、こちらのページもご覧ください。

企業間でのカスハラの未然防止や
カスハラが起きてしまった時のために
できることは何でしょうか?

企業間でのカスハラを
起こさないためにできることの例

  • 基本姿勢の周知や教育
  • 懲戒処分等に関するルールの策定
  • 取引先との良好な関係の構築

企業間でカスハラが
起きてしまった場合の対応の例

  • 行為を受けた就業者からの相談対応
  • 双方の協力による事実確認
  • 行為を行った就業者への適切な措置

実際にあったケース

長野地飯田支判
令和4年8月30日

【判例の概要】

医療機器販売を行う会社に勤めていた従業員2名が、最大手顧客である病院の担当者から、取引の交渉過程において、数々の暴行・脅迫などを受け、精神的苦痛を被ったとして、当該担当者に対する不法行為責任、及び、病院に対する使用者責任に基づく、損害賠償を請求した事案です。


取引先担当者は、カッターナイフの刃の背中側(刃ではない側)を手の甲に当てる、携帯電話のネックストラップで首を絞めるなどの暴行を行い、別途、刑事上の有罪判決が確定していました。


この民事の損害賠償請求事件においても、裁判所は、従業員らはカスタマーハラスメントとも言うべき暴行・脅迫等を日常的に受けており、最大手顧客との取引関係を壊さないように配慮せざるを得ない弱い立場にあったことから、そうした理不尽な暴行・脅迫等に耐えていたもので、従業員らの屈辱感も相当に大きかったなどとして、取引先担当者の不法行為責任(民法709条)、病院側の使用者責任(民法715条)をいずれも認め、慰謝料の支払いを命じる判決が出されました。

本判決では、カスハラの行為者だけでなく、その使用者に当たる病院側にも損害賠償責任(使用者責任)が生じると判断されました。
事業者としては、従業員による他所でのカスハラ行為が、法的に「使用者責任」の問題にもなりうることを、十分に確認しておくべきといえるでしょう。

今回のまとめ

都のカスハラ防止条例では、第9条
第3項(事業者の責務)において、

“事業者は、その事業に関して
就業者が顧客等としてカスタマー・ハラスメントを行わないように、
必要な措置を講ずるよう努めなければならない。”
と規定しています。

就業者は、カスハラを受ける立場である一方、例えば、取引先との関係では顧客等であるなど、カスハラを行う立場にもなり得ます。
事業者は、事業に従事する者がカスハラを行わないよう、カスハラ防止に関する啓発や教育等をしっかり行っていきましょう。

なお、令和7年6月には法改正(労働施策総合推進法の改正)が成立し、カスハラ防止措置を行うことが事業主の義務となることとなりました。
令和8年10月から施行される(義務付けが始まる)予定です。
今後、国の指針において具体的な防止措置の内容が示される予定ですので、こうした内容も含め、最新の情報を確認し、カスハラ防止対策に取り組みましょう。

原 昌登

監修

令和7年度監修担当
成蹊大学法学部教授

原 昌登

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